この敷地は近くに中学校のある住宅地です。
北側には行き止まりの幅員4mの前面道路があり、道沿いに数件の民家があり、行き止まりの先の西側は広い畑地があります。
敷地南側には2階建の共同住宅が間口いっぱいに対峙するかたちで建っていて、その2階共同用廊下からはこの敷地の全貌がよく見えました。
東側はその共同住宅へのアクセス進入路となっており、また進入路を挟んだ東側にも民家が建っており西側以外は民家や共同住宅に囲まれています。
この敷地に夫婦+子供(2人)のご家族からのご要望は周囲からの視線が気にならない安心で快適な住まいをとのことでした。
その解決策として、私の過去の作品『中庭のある家』シリーズを参考にしていただき中庭を中心に周囲を展開したご提案となりました。
採光上南側ゾーンの高さを低く抑え中庭を挟んだ北側を2階建とし南から北への片流れ大屋根形状とし中央の中庭上部はぽっかりと穴の空いた形としました。
南側に使用頻度の少ない客間や将来のピアノ室、北側の1階にリビングを、その上の2階に個室群、西側にはダイニングキッチンをレイアウトし朝日を取り入れるため、東側の玄関とアプローチは大屋根形状にカットして低い屋根にしています。
そのダイニングキッチンは片流れ屋根成り天井とし2階個室群との縦の繋がりになるよう吹抜けを設けました。
南側の屋根が中庭部分の目隠しとなることにより、1階のLDK、客間、玄関等安心して開口できるよう配慮しました。
また、LDKは木製ガラス戸とすることにより全開口でき、中庭と内外一体として活用できるのが特徴となっています。
シンプルな片流れ屋根形状の外観にざっくりとした左官壁で重厚感を醸し出せたのではないかと思います。
【撮影】野津研一
【建築家】宇佐美淳
(島根)